第30回 和音(コード)について考えよう⑨

第30回 和音(コード)について考えよう⑨

今回は和音の最終回。コード進行の小技をまとめていきます!

まずは、この曲をお聴きください。

この曲に使われているコード進行の小技について説明していきましょう!

1. ドミナントモーション

「ドミナント」というのは、音階においての「属音」を根音とするコードのことでした。
「トニック」へ向かおうとする「進行感」の強いコードでしたね。
特に、「セブンスコード」にするとよりその色が強まります。

この特徴を生かしたコード進行が「ドミナントモーション」。
ドミナントの行先であるトニックを「他の和音にすげ替える」というのがこのコード進行。
どういうことか説明していきます。

まずは、例としてCメジャーで考えます。
ドの音が主音ですから、トニックは「C」。「ド ミ ソ」の和音です。
ソの音が属音ですから、ドミナントは「G」。「ソ シ レ」の和音です。
進行感を強めるなら、「ソ シ レ ファ」として「G7」を使いましょう。

トニック、ドミナントの和音としての根音を考えると、
ドミナントの根音(D) と トニックの根音(T) は、以下のような関係になります。

たとえば、トニックを「Am」にすげ替えるとどうなるかと言うと、

というようになり、「ミ」の音を根音とする和音「E」「E7」がドミナントになることがわかります。

この楽譜の赤丸がすべてドミナントの役割を果たしており、
矢印の先をトニックと見なして進行しています。

2. 平行移動

これは私が勝手にそう呼んでいるだけですので、正式名称ではありません。
ある和音から、構成音を半音ずつ・全音ずつ上がったり下がったりする進行のこと。

この曲では上の楽譜のところで、半音ずつ和音が下がっていっています。
なめらかな表現や、盛り上がりを演出することができます。

3. ハーフディミニッシュ

「ハーフディミニッシュ」というのは、マイナーセブンスコードの第五音を半音下げた和音のこと。
キーボードの白鍵だけに限定すると「シ レ ファ ラ」と弾いたときの和音です。
ちなみにこの和音は「Bφ」というように「〇に斜線を入れた記号」を使って表します。
他にも、「Bm7(♭5)」というように、「マイナーセブンスコードの第五音を半音下げた」ということを律儀に書く方法もあります。

この和音の使いどころは3つ。

3-1. ドミナントモーションの前に使う

この曲では上のように、「E7」→「Am」というドミナントモーションの前に
ドミナント「E」のさらにドミナントにあたる「B」を使ったハーフディミニッシュを置いています。

痛いほどの切なさ、哀愁が表現されるような進行です。

3-2. メジャーセブンスの亜種として使う

「FM7」の構成音は「ファ ラ ド ミ」です。
この「ファ」を半音上げ、「ファ# ラ ド ミ」とすると、「F#φ」「F#m7(♭5)」になります。
このようにハーフディミニッシュをメジャーセブンスの亜種と考えて使うこともできます。


この曲では上の2箇所で使われています。
「ファ#」が「ファ」へと半音下がることで、なめらかなコード進行にしています。

3-3. ナインスの亜種として使う

「G9」の構成音は「ソ シ レ ファ ラ」です。
ここから根音の「ソ」を取り除くと、「シ レ ファ ラ」となり、「B#φ」「Bm7(♭5)」になります。
このように、ナインスの一部として代わりに使うことができます。

4. クリシェ

これは第26回でも触れましたね。
和音の一部を半音進行させて滑らかさを演出できます。

この曲では上の楽譜のように、「ファ# → ファ → ミ → レ# → レ」というようにベースラインが
半音ずつ下がっていっています。

5. ドミナントの亜種

ドミナントにひと工夫をくわえると雰囲気をガラリと変えることができます。
たとえばこの曲では

というような進行を使いました。
他にもいろいろな工夫ができますので、順番に説明します。

5-1. sus4(サスペンデッド・フォース)

通称「サスフォー」。
本来普通のメジャーコードが「根音+長3度上+完全5度上」の3音で構成されるのに対して、
その第三音を「長3度上」から「完全4度上」に上げたものを「サスフォー」と呼びます。
「Csus4」であれば「ド ファ ソ」。

この和音の大きな特徴は、「完全4度上」に上げられた音が「長3度上」へ戻ろうとする、というところ。
つまり、「Csus4」→「C」というように進行したくなるということです。

<例>
「Gsus4」=「ソ ド レ」

「G」    =「ソ シ レ」

「C」    =「ド ミ ソ」

今回例として挙げているこの曲でも、「Gsus4」→「G」と進行していますね。

なお、このsus4はドミナントの亜種として紹介していますが、ほかの用途にも使われます。

5-2. 第五音を半音上げる

(#5)という記号を付けることで表すことができます。
第五音を半音上げることで独特の緊張感を出すことができます。
また、半音上げられた第五音は、さらに半音上の音へ向かおうとします。
これはトニックの第三音にあたるため、メロディが第三音から始まるときによく使われます。

<例>
「G7」    =「ソ シ レ  ファ」

「G7(#5)」=「ソ シ レ# ファ」

「C」     =  「ド ミ ソ」

5-3. 第五音を半音下げる

(♭5)という記号を付けることで表すことができます。
こちらも第五音を半音下げることで特有の緊張感を出すことができます。
また、半音下げられた第五音は、さらに半音下の音へ向かおうとします。
これはトニックの根音にあたるため、メロディが根音から始まるときによく使われます。

<例>
「G9」    =「ソ シ レ  ファ ラ」

「G9(♭5)」=「ソ シ レ♭ ファ ラ」

「C」     =    「ド ミ ソ」

他にも

・ナインスやイレブンス、サーティンスと言って、セブンスよりも高い音をどんどん加えたり

・それぞれの構成音を半音上げてみたり、下げてみたり

・構成音を一部取り除いてみたり

様々な工夫ができますので、最初は手探りでも色々と試してみて、響きを聞いてみてくださいね!

今回で和音の話は終わり!
次回は拍子についてひも解いていきましょう!